奈良県の木~スギ

奈良県南部の山間部は吉野杉の産地として、世に知られています。伐採された杉材の貯木地域近隣で育った私にとって「杉」は幼少時から身近な存在でした。生家の前の県道は伐採後の杉丸太を積んだ馬車も通り、製材ででた端材を割り箸に加工して、吉野川の河原で乾燥日干ししてるのを目にしていました。

近年に成って、建築工法が変わり安価な輸入材が市場占有で、地場産業の伝統的林業は寂れるばかり。後継者の林業従事者も減少の一途で、切り出しが困難な山林は放置された状態で荒れています。ひと昔前、余裕のある家は山地を手に入れて子孫の為に植林、その後、人を雇って下草刈り、間伐、枝打ち等長い期間に亘り費用をかけて70~80年後の伐採を目途として山を見守ってきたものです。その頃は70~80年経過の木材(電信柱より太い)は大きな杉板が取れて一番の価値が有りましたが、工法が変わった今、伝統的な日本風家屋向けの需要が無くなり、逆に若木の方が少ないながらも需要が有るそうです。

私も相続して杉山を持っていますが、足の便の悪い場所なので材木として販売する場合は大体売価の4割強が伐採/搬出コストとして掛かります。因みに固定資産税は土地に対してのみで、立木は評価対象外、大した税額にも成らないので、山は放置したままです。

さて、奈良県の県木「杉」の代表選手を紹介します。
奈良県宇陀市の伊勢街道沿いにあるこの「高井の千本杉」です。千本とは称されるが、実際には16本の支幹に分かれていて、大樹に神が宿ると伝わり、弘法大師が、この場所で弁当を食べた後、地面に刺した箸が成長したとの逸話があります。

奈良県のみならず近畿地方の杉の中で一番の古木であり幹回りー25m 樹高ー45mあり、樹齢は600年超。
「井戸杉」と称し、井戸を掘った後、そこに水を集める目的で井戸の周囲に杉の木を植える風習が古来から有ったようです。

山仲春男


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