シンゴのきになる話③ すごい植物たちの巻(落葉 その3)

また落葉するには成長ホルモンのオーキシンという物質が減少するだけでなくエチレンという成熟ホルモンが影響しているのです。

エチレンは成長ホルモンであるオーキシンが茎の中を移動するのを阻害したり、離層の細胞に働いて細胞と細胞の接着を弱める酵素の合成を促すのです。

この酵素の働きで離層の細胞間の接着が弱まり外から力が加わると簡単に葉が離れてしまうのです。つまり、気温が下がると老化が始まってオーキシンの合成が止まり、離層組織でエチレンの合成が始まり、実や花が落ちていくのです。

これは葉の先の方からオーキシンを与え続けると低温になっても落葉しないのですが、エチレンを与えると若い葉でも落葉してしまうという実験からわかります。

その成熟ホルモンのエチレンが実用化されているのはバナナアボカドなどの成熟工程です。

バナナやアボガドは産地が遠いので消費地までの輸送期間を考慮して、まだ熟さないうちに収穫をし、船に積みます。そして船倉でエチレンガスを充満させて酵素の働きを促進させて熟すので青いバナナが黄色いバナナとなってお店で売られているのです。

エチレンはそのほかにアイリススイセンフリージアなどの球根の休眠打破と花が咲くための促進や茎を肥大させる効果を利用してモヤシの栽培にも使われています。

また、野菜や果物を置いておくと腐食していくのも自ら発生させているエチレンのせいなのです。

南方の葉っぱは冬が来ないので一斉に紅葉して散ることはないようです。

順番に離層を作って散っていくようです。

でも、道路に落ちている枯れた葉っぱの数が多いのは雨季から乾季に移行しつつあるためででしょうか、それとも私が自分の年齢とともに落ち葉を意識して見るようになったからでしょうか。

(落葉の項 おわり)

=走り読みした図書=

「植物はすごい」   田中修 著 中公新書
「植物学「超」入門」 田中修 著 サイエンス・アイ新書
「面白くて眠れなくなる植物学」 稲垣栄洋 著 PHP研究所
「これで納得!植物の謎」 日本植物整理学会 編 ブルーバックス(講談社)


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


wp-puzzle.com logo