ビル風 -風の樹木に対する影響ー

先日アンズの木が強風で折れたことをお伝えしましたが、この機会に風の樹木に対する影響について私なりに観察し考えたことをお話します。

台風などの強風が吹き荒れると、樹木は葉を吹き飛ばされ、枯枝や弱った枝などは簡単にへし折られてしまいます。これは通常の風ですが、ハイムの場合は高層の建物であるため、それ以外にいわゆるビル風も発生していると考えられます。ビル風は都心のオフィス街などで皆さん経験されたことがあると思いますが、それは高層の建物の周辺の狭い範囲で発生する複雑な風の呼び名です。具体的には、建物にぶつかった風が左右に分かれたあと建物の角で剥がれて流れていくのが「剥離流」、上下に分かれたあと建物の側面を斜め上から吹くのが「吹き降ろし」と呼ばれ、いずれも周囲の風よりも早く(強く)なります。また、高層の建物が2棟以上ある場合には、それぞれの剥離流と吹き降ろしが合体した「谷間風」というものも生じます。

ハイムでは、冬場の北からの風は5・6号棟にぶつかり、全体としては弱められますが、5・6号棟の間の通路などが風の通り道になって「谷間風」が発生していると思われます。また春先から秋にかけては南からの風が多く、1・2号棟に吹きつけた風は、さらに2号棟南西隅へ、1・2号棟の間の通路へ、1号棟南東隅へと吹き抜けます。つまり、この3か所も風の通り道になって「剥離流」「谷間風」が発生していると思われます。

風の通り道 その1:

2号棟南西隅には、今や大木になったケヤキ(写真1)、タブノキ、ヤマモモなどもありますが、どの木も風下に約10度程度、マヤボウシ(写真2)は約20度、アンズ(写真3)に至っては約40度傾いています。これらの剪定時には少しでも風圧を下げるように混んだ枝を極力減らしたり、風下から支柱で支えたりしてきましたが、アンズは常に「剥離流」の強風に晒され徐々に風下に傾き、ついには先日の台風の時に倒れたというわけです。

また、2号棟南西隅の近くに植えられているジャカランダ(写真4)ですが、この場所に特有の風のため、新しく出る枝はすべて風下方向(西)に向かって伸びざるを得ません。2号棟南西端近く(南側)では剥離流が起こる寸前まで、建物に沿って西に向かって強い風が吹いていることを物語っています。

写真1 ケヤキ 写真2 ヤマボウシ 写真3 アンズ 写真4ジャカランダ

​( 続く )

 

 


ビル風 -風の樹木に対する影響ー” に対して1件のコメントがあります。

  1. 緑の八咫烏 より:

    驚きました!風が樹木に影響を与えるということはわかりますが、維持・管理するための対策が大変なことだということがよくわかりました。日頃の目立たない地道な活動に感謝です!

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