かたやナルキッソスはエコー以外の妖精にも冷酷な対応をしておりました。

するとその妖精は復讐の女神ネメシスに恨みを晴らしてもらうように頼んだのです。

まるで必殺仕掛け神でございますね。

一説によりますと復讐を頼まれたのは妖精が仕えていた女神アルテミスだという話もございます。仕掛人が誰だか表に出てこないのはギリシャ神話も日本のドラマも同じでございますね。

それで復讐の神はナルキッソスが自分しか愛せない人間になるように罰を与えたのでございます。

そんなことも露知らぬ、ナルキッソスはある日、狩りにでて汗をかいたので水を飲もうと澄んだ泉に口をつけようとすると、はっとする美しい青年がその水面に映っているのを見たのでございます。

まるで太陽神アポロンのような美青年がそこにいるように見えたのでございます。

その青年にキスをしようと唇を近づけるとさっと消えてしまい、すこし見つめているとまた現われてくるのです。そして、ナルキッソスがその青年に微笑むと相手も微笑返し、手を伸ばすと相手も手を伸ばしてくるのです。

しかし、触ろうとした瞬間に相手は消えてしまうのです。

あのー、当時は同性愛というのは別に不自然な恋愛感情ではなく、友情の一種だと考えられていたのでございます。ゼウスもアポロンにも同性の恋人はいたのでございます。

その日からナルキッソスは毎日その泉に来て水面を眺め同じことを繰り返しました。

そうしているうちにナルキッソスはやつれ果てて最後の言葉を発しました。

ナルキッソス      むなしい恋の相手だった青年よ、さようなら。

するとエコーが『むかしい恋の相手だった青年よ、さようなら』と答えました。

ナルキッソクがやつれて体が消えて行ったその泉の側には一輪の花が咲いておりました。その花が英語のナルシサス(Narcissus)、水仙でございます。

自己愛をあらわすナルシズムはこのお話しから精神科学者のフロイトが広めてものでございます。

まあエコーと申しますと、年配の方には格安タバコの銘柄を思いだされるのではありませんか。
しんせいやゴールデンバットと並ぶ旧3級品とよばれました。しかし、20本入りで310円とほかのタバコが400円以上するのにエコーは安いため人気が出ているようでございます。

えっ、この落語の落ちはなんですかって?

そりゃあ、妖精のエコーも、水仙のナルキッソスも最後はタバコのエコーのように煙になって消えたということでございます。

お後がよろしいようで。

ギリシャ神話 エコーの巻 おわり

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