神奈川県の木、イチョウ。
ケヤキと同様、イチョウはわれわれが日常よく目にしている木ではありますが、あなたは一体どこのどんなイチョウを思い浮かべるでしょうか。

私は年に一二度気が向けばぶらりと遊びに行く鎌倉、鶴岡八幡宮の大銀杏(オオイチョウ)です。この大銀杏については中学の日本史の時間に、この傍で鎌倉幕府3代将軍実朝が2代将軍頼家の息子公暁によって暗殺された話を聞き、なぜか鮮明に記憶に残っています。雪が降りしきる本殿の階段下のこの大銀杏の陰に隠れて、公暁は叔父である実朝が鶴岡八幡宮に参詣した帰りを待ち伏せしていたといいます。実朝を警護するはずの大勢の武装した供回りですが神域である境内には入れず外にいたため、実朝はいとも簡単に討ち取られているのです。これは史実かどうかは分かりませんが、巷間ではそのように伝わっています。その事件が起きて、来年でちょうど800年になります。

その大銀杏ですが、暗殺事件当時どれほどの樹齢だったか分かりませんが、身を隠せるほどの大木になっていたと思われますので、樹齢約千年ということで神奈川県の天然記念物にもなっていました。それが平成22年に強風のため根元から倒れてしまいました(左の写真は倒れた当時)。その後、その大銀杏をどのように保存するかいろいろ検討がなされた結果、現在の形になっているようです。それはというと、①もともとの木の根をそのまま残し、根から新しい芽が出てくるのを待つ、②同時に倒れた木の株(幹の根元に近い部分)だけをその隣にそのまま移植して、そこから新しい芽が出るのを待つ、ということのようでした。

その大銀杏、倒れて8年後の今日現在、どうなっているか?
それでは2枚の写真でご覧ください。写真左が階段の途中上からから、写真右が下から撮ったもの。まだ見事とは言えませんが、元の根からも何年か前に新しい芽が出て若々しい木がすっくと伸びています。また、隣に移植した株の脇にも、たくさんのひこばえの若木が出ています。

最終形がどのようになるのかはまだ分かりませんが、少なくとも実朝が暗殺された当時のイチョウそのものの命が途切れずに繋がっていることだけは確かなことです。植物の逞しい生命力については、いろんなところで目にすることがありますが、あらためて感動しました。

( へんこつ )

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