岐阜県の木~イチイ(夫婦善哉風会話編)

夫 ただいま~。
妻 お帰りなさい。どうでした県人会の集まりは

夫 みんなで『半分、青い』の話題で盛り上がっとったわ
妻 そういえば『半分、青い』は放送が終わってしまいましたね。

夫 そうやね、わがふるさとの岐阜県の言葉を全国に広めてくれて感謝しとるんやわ。
妻 あなたは県人会から帰ってくるといつも岐阜の言葉になってしまうのですね。
あのね、岐阜県といえば県の木はなあに。

夫 なんや、チコちゃんみたいに急な質問をするね。
妻 そうじゃないの、このハイムのホームページで県の木を紹介するコーナーがあるのよ、
あなたのふるさとの県木の話を聞いて面白そうだったら投稿しようと思ったの。

夫 岐阜県の県木ちゅうたら飛騨のイチイイットウボリで有名なイチイやわな
妻 そのイチイイットウボリって何ですか

夫 一位一刀彫りと書いて、イチイの木から作った彫り物なんや。
妻 イチイって、変わった名前ですが、その由来は何ですか

夫 昔々のことやで、ある天皇さんの即位のときに使う笏(しゃく)を各地から募集したそうや。
妻 笏って何ですか?

夫 宮中の偉い人たち、ほれ、聖徳太子が体の前に持っちょるあの小さい板があるやら。
妻 木のヘラですね。

夫 それで岐阜の飛騨地方の木でつくられた笏が一等賞になったんやて。
妻 そうなんですか。

夫 当時の官位は偉い順から正一位、従一位、正二位とか順番になってたやろ
妻 そういえば学校で習ったような気がしますね
夫 飛騨の木が最高やったんで正一位、略して一位=イチイの名称が与えられたんやわ。

妻 由緒ある木なんですね。
夫 飛騨の匠の国やもんで、そのイチイの木から作られた彫り物がたーんとあるんやわ。

妻 それはどのようなものですか?
夫 一番有名なんが高山祭の屋台にも使われとるしよー、江戸時代には一位彫りの根付が盛んになったんやわ。

妻 根付ってなんですか?
夫 昔の人が腰に下げた煙草入れ、巾着、印籠なんかに紐がついとるやら、その紐の端に付けものなんやわ。

妻 今でいう、ストラップの先の飾りみたいなもんですね。
夫 そんで、昔はその長い紐でクルクルと巻いて根付を留め具にしてたんやわ

妻 それで、イチイってどんな木なんですか
夫 寒いところで育つ木やもんで年輪の幅が狭くて狂いが少のうて、光沢があって、加工が
し易いんやわ。ちょっとネットで画像を見よまいかん。

妻 あれっ。赤い実が生るんですね。
夫 そうなんや、木イチゴとオリーブみたいな実がなって、食べられるんやて。
果実酒にしたりするんやけんど、タネは有毒なんやて。
北海道や東北なんかではイチイのことをオンコというそうやわ。

妻 ところ変われば呼び名も変わるですね。
夫 イチイにはまたアララギという別名もあるんやわ。

妻 きいたことありますね、アララギって名前。
夫 そうやで、明治時代からの文藝のグループで小説の白樺派、短歌のアララギ派の
アララギなんや。

妻 白樺派は武者小路実篤、志賀直哉でしたね、アララギ派は誰だったかしら
夫 アララギ派のもとは正岡子規の門下の伊藤左千夫たちで、『アララギ』という機関誌が1908年(明治41年)に創刊されたんでそう呼ばれているんや

妻 あっ、そういえば斉藤茂吉もアララギ派だったんじゃない
夫 よお知っとりゃすね。

妻 私は一応、文学部出身ですからね。でも、あまり短歌は勉強しなかったから。
夫 そのアララギと命名したんは歌壇における第一位になることを意味したとか、命名した人が一位の実が好物だったとかいわれをるんや。

妻 その人ってだれなの?
夫 ようわからんけど、斉藤茂吉には次の歌があるんや。

あららぎの くれなゐの実を 食むときは ちちはは恋し 信濃路にして

妻 それで、イチイが県木なのは岐阜県だけなの
夫 都道府県では岐阜県だけやけど、北海道、青森、岩手、山梨、長野などの市町村の木としてて使われているんや。飛騨の地元の高山市もイチイが市の木になっとるんやわ。

妻 結構有名なのね、岐阜の県木のイチイの木って
夫 この木が県木になったんは昭和41年なんや。

都道府県の県木選定の経緯

昭和45年にアジアで初めて開かれる万国博覧会を記念して,毎日新聞社が提唱した「緑のニッポン全国運動」の一環として行われたものです。その運動とはみんなの手で郷土の木を選び出そう、そして,みんなの力を合わせて育てあげ,緑のニッポンをつくり出そうというもので、記念植樹を通じて,国民に万国博への参加を呼びかけるとしてスタートしものです。ですから各都道府県の県木の制定は昭和41年が多いのです。

妻 よく、覚えているのね。
夫 今日の県人会で話とったやつがおったわ。
あのころは昭和39年に東京オリンピックがあって、その翌年には岐阜で国体が開かれたんや。やから岐阜国体にはオリンピック選手が大勢でたんやよ。

妻 あなたそのころまだ小学生でしたでしょ
夫 そうやけど、岐阜県には県木の他に県花、県魚、県の鳥もあるし。さらに県の歌もあって、学校でよう歌わされたんやよ。

妻 そこに一位の木の名前が出てくるの
夫 ちがうんや、一番の歌詞に『岐阜は木の国、山の国』というのがあって、いまでも岐阜って聞くとその歌詞がメロディとが一緒に頭の中に出てきよるんやわ。

妻 やっぱり、岐阜で生れた人はふるさととお国ことばをいつまでも引きずっているんですね。
夫 そうやろか、でも木だけに同じひいても『木挽(こび)き』やろな。

妻 あなたも大阪人みたい話にオチがいるのね。
でも、あなたの一位の話をハイムのHPに投稿したら受けるかしらね。

シンゴ(半分、岐阜県人)


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